株式会社関富 コラム

第4回 『会社経営の錦の御旗』

徳川が日本を手中に収めるまでには多くの戦があり、そこで命を落とした多くの侍と駆り出された多くの民百姓、その出征には強制があったにしても大義名分が掲げられた筈。
領主侍大将が『命を駆り出す説得力』には相当真に迫ったものがあり、
また卓越した統率力を持ち合わせていたのであろう。

会社・社員を支える経営理念

『経営理念』、これが現代社会の会社に於ける戦国の『命を駆り出す説得力』にあたるのではないか。
経営理念とは

@社長の経営心を震撼させる
A社員の労働意欲を鼓舞する
B社員を同じ方向に向かせる力を持つ

等、精神的に訴える役割を持っていて会社経営の根幹となる部分を始めとし、営業経営集団という組織を運営するに当り最も重要な要素を備えているものである。
松下幸之助さんはしっかりした経営理念が出来れば事業の50%は成功したようなものと述べられているように、これは会社経営には非常に大切なものである。

規模の大小に関わらず、いずこの会社も社長業とは大変な業であり、これを日本創造教育研究所(日創研)・田舞徳太郎代表は著書;『理念経営のすすめ』の中で伝記作家小島直記先生の言葉を引用して次のように述べています。

 経営者は常に我慢と克服の連続であり、[冷に耐え・苦に耐え・煩に耐え・閑に耐え・激せず・躁がず(さわがず)・競わず・随わず(したがわず)]の「四耐四不」(したいしふ)と言われる刻苦を乗り越えて生きてゆかねばならないものである。
  また「何としてでも良い会社にしよう」「地域社会や顧客に認められるような会社に発展さていこう」など人間性の大きさを問われる立場にあり、時には勇気を与えてくれるような精神的支柱として、経営者を救い奮い立たせてくれるものが経営理念の役割のひとつであり、その要素を持ち合わせた経営理念を作成するべきである。

と述べています。
またC経営者の意思と行動を示すと共にD仕事の領域を限定する=例えばバブル期に本業以外の株式・異業種に手を出す等無駄な投資を抑え、会社を傾けない役割(ビジョンが会社のアクセルならば理念はブレーキとなる)、そしてまた社員さんたちに対しても経営理念は、社員さん達を同じ方向に向かわせる力も持っているもの、そして社員さん達が仕事の壁にぶつかった時にも頑張る根拠になるものであり、それを作る事と説いています。

 (以下『理念経営のすすめ』より引用

人は同じ会社に勤めているからといって、社員全員が同じ方向を向いて働いていると言うと決してそうではありません。右を向いたり左を向いたり、まったく反対方向を向いたりしているものです。これは仕方がないことです。
それぞれ生い立ちが違い、両親の教育が違い学校の先生が違います。また生まれた地域によっては慣習やしきたりの違いもあります。
こうした違いの中で育まれてきた文化や価値観は、百人居たら百人がバラバラの人間が集まって出来ているのが会社というものの原点だと考えたほうが良いでしょう。

しかし社員の文化や価値観がバラバラのままでは経営はうまくいきません。
だから経営者が考えなければならないのは、文化や価値観の異なる不ぞろいの個々人のベクトルを一つの方向に如何に合わせるかということです。そこで経営理念はそのために必要になるのです。

「わが社はこういう考えでこっちの方向に行くのだよ」と経営理念によって定めることによって、 異なったベクトルを一つの方向に向けることが出来るのです。
経営理念がないと経営判断をする時に、Aさんはこう考える・Bさんはこう考える・Cさんはこう考えるとバラバラになりますから、お客様は戸惑ってしまいます。だから経営理念の定義の一番は個々人の立場を越えて向かわせるものであるということになります。

営業に行って断られ雨にぬれてビショビショになり、ひとりで車を運転して帰るようなこともあるでしょう。「俺は何でこんな事をしているのだろう」。そんな気持ちで帰ってきた営業マンにうちは「こういうことの為に仕事をしているんだ、雨に濡れようと屈辱を受けようと蔑(さげす)まれようとがんばって営業に行ってこい」と経営者が言えるようなもの、それが経営理念となってゆかなければいけない

そういう役割を持ったものが経営理念と著されています。 もみじ

私たちももっともっと経営理念の重要な役割を理解し作成し、更に組織だった会社に成長させて『新市場豊洲』に向かってゆきましょう。

(株)関富取締役社長 関戸富夫