株式会社関富 コラム

第1回 築地の持つイメージ

「築地市場」それはいろいろな色彩を持っています。
多くの人が持つイメージは「新鮮活気、威勢がいい」が一番多く。
他には「朝が早い、食い物が旨い」等が上げられています。
反して深く知る人は「汚い、せっかち、大雑把」を指摘する人もいるかもしれない??
(いやいや、真冬の空にはダイナミックで見事なまでの満天の星空が、穏やかな秋の空にはまんまるに輝く大きな月が、仕事の苦労を癒してくれるそんな景色があるんですよ)

築市場地内の分類

築地市場には大別して、魚関係の「水産」と野菜関係の「青果」があります。
水産には「マグロのような大物」「発泡スチロールの箱に氷詰めになった鯵、秋刀魚、鰯等の様な丸のままの生の魚」「干物、珍味の干魚」「魚肉煉り製品とお惣菜菓子などの煉・加工品」の4つの業界に分かれます。
特筆すべきはそれぞれの業界の違いで、同じ市場の中でもいわゆる気質の違いの存在することが面白い。 でんと構えた大物業界(横綱)、俊敏でキレと冴えの生(背番号51)、干魚合物(かんぎょあいもの)業界は学者肌特に考古学者、そして小回りと融通性と視野の広さが一番の煉り加工品という気風があります。
勿論水産と青果の間にも、「水と土」のエネルギーの違いから業種の色の違いとして顕著に現れています。

現代に於ける煉・加工品業界

築地市場内関富

場内市場では「関戸」を屋号としている当社(株)関富は、煉り加工品業会に所属しています。
世の中の多くの仕組み、存在のあり方が急速に変化している今日、情報収集能力、対応力を得意とする柔軟思考の我々煉加工日配品の業界は今「市場流通」「市場機能」に於いても最も重要視されています。

また、社会の劇的な変化に伴う「女性の更なる職場への進出」や、「シングル化」「高齢化社会」など単身者増の現象が大きな要因になり、すぐに食べられる食品としてお惣菜品が広く求められ、その売り上げの伸びは近年特に目覚しいものがあります。

特に流通末端のスーパーマーケットに於いては、店長に就く際の必須条件として日配惣菜品の習得を挙げる人もいる程です。ほんの少し前までは生鮮三品と言われ「青果、鮮魚、精肉」が主要視されてきましたが、今日では日配惣菜品がもっとも幅広く求められ重要視されています。
更には新たな供給拡充にも充分な消化能力が余りある市場と考えています。

煉・加工品の過去から現在

昭和40年代に入って間もない頃の築地では水産関係の品々が殆どでした。それらは現在のように発泡スチロールの箱やダンボールの物ではなく、殆どがトロ箱と言われる木の箱に詰まっていました。

昭和43年から44年は「餃子、シュウマイ、魚肉ソーセージ、ウインナー」等の水産物以外の惣菜品の流通が徐々に出回り始め、また商材も個々に包装された販売しやすい形態となり、現在のように多様かつ豊富な品々があふれる始まりでした。
商品 煉り製品に於いても昭和40年代前半頃から盛んにこの小包装の傾向になり、市場に流れる商材もこれをきっかけとして爆発的に増加しました。現代では様々な品が個々の包装にJANコードがつけられ管理、販売に適したものとなり、現在のような完成品となりました。

変化する流通、消費の先細り

他方小売店、つまり消費者の方々に商品を供給する流通機構にも近代的な展開が広まって行きました。
昭和30年代中頃、「魚屋さん」「八百屋さん」「お米屋さん」「豆腐屋さん」「酒屋さん」などの中に現在のスーパーと呼ばれるお店の業態が芽生え、あるいはそのお店屋さん自身も新たな形態へ切り替え参画が始まりました。

チョット前までは戦後以来の右肩上がりの時代の勢いと、若年層の厚い人口比率という時代背景の中で「お店屋さん」と「スーパー」との共存ができた時代が続きました。しかし現在では様々な問題、つまり「少子化」「高齢化」等による消費先細りが、商品提供手段(小売店)が過剰のままで思うに任せない食品流通の現状を形づくっています。

豊かな未来を共に歩んでゆく為に

解決の糸口は「森羅万象 変幻自在」「基本に回帰」「解決の糸口は無限」です。掘り下げてみれば、消費者の本当に欲しいものが売り場に少ない。購買意欲をそそる「陳列、演出、企画力」が足りない。

それぞれの流通段階に携わる人たちがまだ昔、人が前かがみになり地面を見ながら重い荷物を引いた時の経験を思い出し、原点に帰り足元を見直すことだと思う。
「大卸は商品開発に力を入れる」「仲卸は新しい商品には貪欲なまでにどんどん挑戦する」「小売店では顧客代表取締役関戸富夫が求める商品の変化を敏感に受け止め、品揃えの努力と思わず手が出る様な陳列法の披露展開」等、
それぞれの流通段階の中で、感性と知力を磨きさらに努力を重ねることが唯一の突破口と考えています。そういう次元に既に入っています。

この厳しい環境の中で当社関富は迅速をもって確かな商品の探求と紹介、そして更なる販売につながる情報と機能を充分に披露すること。他の追従を許さない販売、陳列法などの様々なコンサルティングのノウハウをもってお得意様の繁栄に積極的に参画すること、それが当社の使命であり、困難な社会の中で役に立つ会社になれる、更にはお取引様と共に歩んでいける唯一の道であると固く信じ日々歩んでいるところです。

株式会社関富 関戸富夫